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みどりの衣

「我が心は石にあらず」の詩句がある「柏舟」の詩の次にある「緑衣」

まとめました

https://bymn.xsrv.jp/von/2019v/201907.html

 

nekomegami.hatenablog.com

 

 

 

詩経 邶風の「緑衣」は、あの「我が心は石に在らず」の「柏舟」 の次におかれ、白川静 の『詩経国風』(平凡社東洋文庫)の解説では、亡き妻が作った服を見ながら、夫が妻を悼んでいる悼亡の詩であった。

ところが、藤堂明保監修の『詩経【中国の古典】』(学習研究社)は大いに違っている。
現在の妻との愛情の食い違いから起こる前の妻への追慕とする。
緑衣を二つの実体(色と物)に分けた言い方で、色に強調点が置かれる、とする。
「緑衣黄裳」を上衣が緑なのに裳が黄色で「ちぐはぐ色」とし、
「心の憂い」を、(ちぐはぐ色の憂いのたねは)とする。

白川静によれば、それは「亡き人に心憂うる」である。
「衣のイメージと色のシンボリズムに特色があり、衣のイメージは、それを作るものと、それを着る者との間の愛情関係を暗示させる、色のシンボリズムは、古代中国では正色(原色)が間色よりも尊いとされる。したがって、衣の黄/緑の配色は、表/裏、または衣/裳に、黄(正)/緑(間)が対応しなければならない。しかるに今いずれも対も倒錯している。これは愛情関係の食い違いを意味する。 衣の材質である糸に立ち返って、緑に染めた人(現在の妻)と、間違いのなかった古人とが対比される。」

うむ。

ネット検索でも、引用は立派な国語辞典からのようだが、緑を卑しい色としている。そういった知識に傾いて、詩情を解していない。
白川静は、衣という字解で、衣が霊の依る所であり、

衣装を掲げて古人を偲ぶ詩。 衣は魂を包むものであり、受霊の儀礼にも衣を用いた。美しい悼亡の詩である。