自己理解
1.ジェームズ:自己を主我と客我の二つの側面からなるものとして捉えた
(William James、1842 - 1910)
ジェームズは「生理学、心理学および哲学におけるまたその間の最初の思想家」
2.フロム:所有としての自己(ego)と存在としての自己(self)を区分
(Erich Seligmann Fromm、1900- 1980)
3.自己には2つの側面がある (デーモンとハート Demon & Hart)現代の学者
1)自分が認知した自己の側面(身体的自己、活動的自己、社会的自己、心理的自己)
2)主体としての自己(主体性、独自性、連続性)
自己理解の発達
児童期前期 カテゴリーを用いて自己を同定
児童期中・後期 他者との比較によって自己を評価
青年期前期 他者との関係性において自己を意味付け
青年期後期 体系的な信念や計画の中で自己を位置づけ
4.アイデンテイテイ 自己の連続性(時間軸)と独自性(空間軸)
人生を生きる主体としての自己を確立する
私たちが生きていく上での確固とした目標や信念を持つこと
( Erik Homburger Erikson, 1902 - 1994):アメリカで一番影響力があった心理学者
エリクソンの8段階の漸成発達理論
アイデンテイテイの概念(エリクソン Erikson(1902~1994))
生涯発達を8つの段階に区分し、特有の心理社会的危機があると述べた
青年期の心理社会的危機は アイデンテイテイ対アイデンティティ拡散
1)乳児期 基本的信頼 対 基本的不信 希望
2)幼児期初期 自立性 対 恥、疑惑 意思
3)遊技期 自主性 対 罪悪感 目的
4)学童期 勤勉性 対 劣等感 適格
5)青年期 同一性 対 同一性混乱 忠誠
6)前成人期 親密 対 孤立 愛
7)成人期 生殖性 対 停滞 世話
8)老年期 統合 対 絶望、嫌悪 英知
「エリクソンはフロイトの発達論から、独自の精神分析的な発達論を展開した。 フロイトは人の発達を性的関係から捉え、心理を生理学的観点から捉えた。 それに対してエリクソンは人の発達を社会や人間関係から捉えた」
エリクソンの発達段階論からの学び 〜第1段階:乳児期のライフサイクル〜 | 心の天気図
解決が導くもの ・・・ 「希望」 →解決とは、その時期の葛藤を自分自身の心に統合化されていく事によって育まれていくもの
5.アイデンテイテイの実証研究
アイデンティテイ・ステイタス マーシャ
(J.E.Marcia)
傾倒と危機の2つに関して、それぞれの有無によって、4つのアイデンティティ・ステイタスを分類した(類型論)
傾倒 (自分なりの目標や信念があること)
危機(crisis)(自分なりの目標や信念のあり方について悩んだり、その可能性を吟味したりする経験
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アイデンティティは達成までの間にいくつかの特徴的な状態があり、その分類をアイデンティティ・ステータスという。
アイデンティティステータスには拡散、早期完了、モラトリアム、達成の4つの分類がある。
1. 拡散(Diffusion) [ 危機:ありorなし/積極的関与:なし ]
・パターン1 自分自身について真剣に悩んだ事がないため、今の自分が良くわからないでいるタイプ
・パターン2 全ての事に積極的に関与する事を回避し、無関心の状態を維持することで、あらゆる可能性を持っておこうとするタイプ。 1つのことに打ち込むことで、現実の自分や自分の限界があらわになってしまうために起こる。
2.早期完了(Foreclosure) [ 危機:なし/積極的関与:あり ]3.モラトリアム(Moratorium) [ 危機:最中/積極的関与:あいまい ]
エリクソンは心理的・社会的な責任の猶予期間のことをモラトリアムといいました。経済用語のモラトリアム(支払い猶予期間)からきています。 そのモラトリアム的な生き方をしている群をマーシャがモラトリアムと分類しました。 ・パターン1ネガティブなモラトリアム 探そうとしているものの”明日できることは今日しない”ような楽に生きようとする人。モラトリアム人間と呼ばれていた人たちです。
・パターン2ポジティブなモラトリアム 将来どのような人間になりたいかはわからないけど、一つに絞らず、目の前に興味のあることがあるからそれに打ち込む人。結果として職業が後からついてきたりする。大器晩成の要素をもっている。
4.達成(Achievement) [ 危機:あり(あった)/積極的関与:あり ]
☆テキストでは「早期完了」という訳でなく、「フォークロージャー」また、
「類型論なので、アイデンテイテイの形成過程をとらえるには必ずしも適していない」
6.アイデンテイテイ・プロセスの研究へ
グローテヴァント(Harold Grotevant)
危機ではなく 探求(exploration)という概念を用いた
7.時間知覚
ポール・フレス (Paul Fraisse, 1911- 1996) は 時間知覚の業績で知られるフランスの心理学者
フレス (Fraisse,P.)は、 時間の概念を含まず、 単に過去や将来の出来事を喚起することを
時間的視界(horizontal temporal)と呼んだ
2歳半頃から、子どもは「キョウ」「アシタ」「キノウ」という言葉の意味を理解し始め、少しずつ異なって使うようになってくる(岩淵)
この段階では、過去としての「キノウ」や未来としての「アシタ」の概念であるとは考えられない。
出来事の表象が時間的な性質を帯びるようになるのは、7~9歳頃
時間や空間の系列化が発展して、時間軸の中で自分をとらえるようになり、
時間的展望を発達させていく
8. 自己肯定感
セルフ・エフィカシー(自分の価値や能力に値する自信)
自分が何かをやり遂げることができるだろうという確信
人生への積極的姿勢と自分自身に対する肯定的な態度
20答法:客体として知られる自己を検討する手法
「私は」という刺激語が20並べてあり、それに対して、思いついた文章を書き加えていくというもの
年齢とともに自己の内面的な特徴を記述する傾向が強まる