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『絵を見る技術』の目次読書

絵を見る技術 名画の構造を読み解く


手紙魔のゴッホの手紙の記述と実際の絵の色がくい違っているという話が。

絵を見る技術 名画の構造を読み解く』(秋田麻早子(まさこ)さん著 2019年5月朝日出版社刊)に。

「2010年に始まった入念な科学調査の結果、ゴッホの使ったゼラニウム・レーキというピンクがかった赤い絵具の色素が、経年変化によって抜け落ちていたということが分かった」(p146)という
■第4章 なぜ、その色なのか?──絵具と色の秘密 絵画は「物質」でできている、の項)

画材の色名事典(赤系統・その52) | YS-12@co.jp


その他、構図の見方というのが、非常に興味深かった・・
以下目次(https://honto.jp/netstore/pd-contents_0629608795.html)
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        ■序 章 君は見ているけど、観察していないんだ、ワトソン君――ビジュアル・リテラシー

 名画をちゃんと見られるようになりたい!)

   「見る」と「観察」の違い/「目の動かし方」が違った!

   /形を見ることが意味を知ることにつながる

        この本で見えるようになること

   センスとは何か/これまで提案されてきた「絵の見方」

  /「絵ってそうなっていたんだ」が分かる

   /「この世は誰も観察しようともしないけど明らかなことに満ちている」

■第1章 この絵の主役はどこ?――フォーカルポイント

絵の主役、「フォーカルポイント」の探し方

  なぜ目立つの?/光を探せ!/線はどこに集まっているのか?

/隠れたフォーカルポイント

集中と分散

新たな疑問――焦点が二つある絵?

  準主役の投入/二つのフォーカルポイントをどうやって結ぶ?

■第2章 名画が人の目をとらえて放さないのはなぜか?──経路の探し方

名画は「角」を避けている――周回路

  四つの角に潜む引力/周回型の経路の「形」

画面の両サイドにも危険が潜む――ジグザグ経路

  ストッパーを置く/水平方向にジグザグさせる/S字カーブを描く

大事なものから放たれる視線――放射型の経路

  ・集中線型/・十字型/・クラッカー型

視線誘導の細かな工夫

  親切にも入口と出口がある絵/見えないつながりが見えてくる

/二次元と奥行きとを複眼的に見る/経路が一番の見どころの絵

■第3章「この絵はバランスがいい」ってどういうこと?――バランスの見方

線のバランス――リニア・スキームで見る

  絵の雰囲気と構造線/カーブする構造線/縦線は横線を求める

/横線や斜線だって悩みがある/両サイドの法則/リニア・スキームと印象

バランスは名画の絶対条件――左右対称の絵

  フォーカルポイントを真ん中に置いて何がいけないの?/左右の重さを天秤にかける/

  左右対称に潜む危険/左右にフォーカルポイントが分裂

ラファエロを乗り越えて――左右非対称の絵

  フォーカルポイントを真ん中以外に置く/小さくても「効く」理由/

  シーソーだけじゃないバランスの取り方――竿秤/なぜバランスを取るの?

第4章 なぜ、その色なのか?──絵具と色の秘密

絵画は「物質」でできている

  ゴッホの手紙は間違っていなかった?/そもそも絵具って何?/マリアの服はなぜ青い?

   /青の発明という大革命/土気色から極彩色へ

 カラー・スキームを見よう!

   名画は白黒でもちゃんとしてる/明暗の見方/鮮やかな色か濁った色か/

   鮮やかさと陰影のつけ方/色の取り合わせとその効果/色で埋め尽くした絵は?

   /歴史的な影響を踏まえて色を見る

 

      ■第5章 名画の裏に構造あり──構図と比例

 右は左より格上?――位置が明かす力関係

   画面の上下問題/画面の左右問題/異時同図法/構図の定石

 名画に隠された十字線と対角線

   名画にはどうして秩序があるのか/秩序と自然は相反する

 注目すべきは½と⅓と¼――等分割パターン

   まとまった形やリーディングラインに活用する/「三分の一の法則」の由来

   /見分けられないとダメ?

等分割以外のマスター・パターン――正方形・直交・黄金比

   長方形の中の正方形――ラバットメント・パターン

 /90度という角度の魅力――直交パターン/名画と黄金比――黄金分割パターン

 ラファエロ『アテネの学堂』――四等分に隠された深い意味

   *ルート矩形について

 

      ■第6章 だから、名画は名画なんです

 絵の表面的な特徴が統一感を生む

   輪郭線はあるか?/疎か密か/仕上げの質感の違い/形の反復――フラクタル

   /主要ポイントを一致させる/傾きを揃える

 『ウルビーノのヴィーナス』の秘密

   何が見えますか?/フォーカルポイントはどこ?

 /視線誘導――視線の流れで物語が明らかに/バランス――お椀のようなヴィーナス

 /色――主役はヴィーナスの肌/配置――いまや定番となったポーズ

 総合的に分析してみよう――ルーベンス『キリスト降下』

   自由な感想と客観的な分析

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有史以来17世紀まで使えた絵具の種類は大きな変化がなかった。
色はその材料と切り離せなかった。(p151)
色のイメージにも材料の価値が反映された。(p152)
青い絵具は高価 金と並んで高い→聖母マリアの青衣。
このウルトラマリンを偏愛した画家がフェルメール(p153)
高級なイメージを与える赤、白、黒・・絵具としてはそこまで高価ではない。
しかし、これらの色は布をきれいに染めるのが難しかった。
染めるのに、材料、手間。技術が必要で王侯貴族しか着ることができない時代が続いた(p155)

青の発明という大革命

1704年ベルリンで近代初の人工顔料発明「プルシャンブル―」(p157)
18世紀末セルリアンブルー

1802年コバルトブルー
1826年ウルトラマリンブルー
色が自由に使える時代が到来した(p158)
ゼラニウム・レーキは問題のある絵のあった。(『ファン・コッホの寝室』の壁の色は紫だった、『白いバラ』の色は白くなかった)

1824年チューブ入り絵具ができ、屋外で絵を描くことが容易になって、印象派が出てきた。
土由来の色からカラフルな明るい色へ。
ゴッホは1986年から87年にかけて、使う色が完全に変わった(p159)

構図の定石(じょうせき)

『モナ・リザ』(1503ー19年)のように胸より上、左右どちらかを4分の3見せたポーズは肖像画・・テンプレ表現(p197)

名画に隠された十字線と対角線=構図の「マスター・パターン」(画面を規則正しく分割する方法)(p205)
画面を二分割する秩序・・「様式化」
ダ・ヴィンチやラファエロなどのルネサンスの画家たちはこの伝統から脱却して、目で見たとおりの印象を再現しようとした(p204)

名画には秩序がある
理想的な比率

フォーカルポイントや構造線、リーディングラインなどをパターンに添わせることで、ゆるぎないビジョンと決まった印象をもたらす(p206)


1.等分割のマスターパターン・・二分割が増殖してできるパターン・・
画面全体と各部分を調和させたい
同じ比率の形が繰り返される‥そういうものに人々は調和を感じる

→安定した印象をもたらす(p208)

三分の一の法則、五分割(ラ・トゥールが多用)
2.ラバットメント・パターン―長方形の中の正方形(ラファエロの名画や、ゴッホの『ひまわり』や『星月夜』に見られる)(p215)

3.直交パターン 

長方形の眼(画面の重要なポイント) 長方形を入れ子式に分割→渦巻状

(ゴッホの『夜のカ)(p224)

ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』は黄金長方形(1:Φ ユークリッドの外中比→19世紀に黄金比として一般に知られるようにあった)にかなり近い比率のキャンパスに描かれ、螺旋(滑らかにつながった対数螺旋)のラインが活かされている。

ダヴィンチの『受胎告知』(1472頃)は ルート五矩形(1:√5の縦横比を持つ長方形) (p228)
ラファエロの『アテネの学堂』 四分割パターン
ピタゴラスの持つ石板に図形(竪琴)が描かれている ・・ピタゴラスが発見した音律を表わしている。ピタゴラスはこの音律が生み出す比が万物の法則ではないかと考えた人(1:2、2:3、3:4という比率で和音が成立する)(p231)
このピタゴラス学派の説を発展させたプラトンの『ティマイオス』という書物を中央左のダ・ヴィンチ扮するプラトンが手にしている。
この理論はラファエロと同時代の建築家アルベルティの『建築論』にも紹介されるなど広く知られていた。(p232)

 

輪郭線は抽象化の第一歩ともいえる(p240)

※挙げられていた絵は、常玉(画家)SANYU(1901-1966)の『グラジオラスと猫』

 

常玉題字瓶與白菊123

 

《題字瓶與白菊》 1930年代 常玉 布上油畫 72×53.5cm

 

 

形の反復―フラクタル(自己相似形)

名画では同じ形のものがサイズを変えて繰り返されることがよくある(p247)

 

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