「世界の植物園」82号の植物園めぐりはアメリカの フェアチャイルド熱帯ガーデン
植物園めぐり
人工衛星打ち上げで知られるフロリダ半島の先端に近いマイアミ市は,冬を知らない保 養地として古くから名高い。マイアミ空港から自動車で約15分くらい,市の中心部からは ずれた静かな環境に,フェアチャイルド熱帯ガーデンがある。 およそ34万平方メートルの敷地に,2000種 ほどの植物が植えてある。ここの特徴は何といっても熱帯・亜熱帯の植物が野外ですくすくと生育していることだ。主要なコレクショ ンは,ヤシ類とソテツ類である。
旅人木(タビビトノキ)に迎えられてスマートな入り口を入ると,熱帯性樹木が生い茂り, 日本でも室内装飾用としてなじみ深いホウライショウ(モンステラ)が大木のこずえまで這 い上がり,大きな葉を広げている。またブラジル原産のキャノンボール・ツリー(ホウガ ンボク)が異様な樹冠で目を引きつける。
立派に整備された広い歩道沿いの芝生のなかにはリュウゼツランのなかまが勇姿を見せ ており,その間に各種の熱帯性の花々が彩りを添える。暑熱を避けて樹間をたどるうち, 急に視界が開け,澄み切った空を映した広大な池に出る。池辺にはヤシ類やタコノキのな かまが群生し,ただすばらしい⋯⋯⋯⋯。
ここは1960年に私立法人組織として設立さ れた歴史の浅い非営利施設だが,内容の充実 をはかっている。大西洋の植物,とくにバハマ諸島の植物についての優れた研究者をかか えていて,アメリカの熱帯植物研究のセンタ ーとしての役割は大きい。
<文と写真・浅井康宏 東京歯科大学教授> 植物園めぐり 🄫朝日新聞社 1977
Fairchild Tropical Botanic Garden(フェアチャイルド熱帯植物園)
https://www.facebook.com/FairchildGarden/#
アメリカ農務省種子・植物導入局初代局長 長年にわたり、ワシントン D.C. にある米国農務省の種子および植物導入局を管理し、その功績の一つとして、日本からワシントンへの桜の導入に貢献したことが挙げられます。『世界は私の庭だった:植物探検家の旅』(ニューヨーク:C. スクリブナー・サンズ・カンパニー、1938年)1938年に全米図書賞を受賞した。この発見は「十分な販売数と認知度を獲得できなかった最も価値のある本」とされたまた、ケール、キノア、アボカドをアメリカ人に紹介した功績も認められています 1938年に設立されたマイアミのフェアチャイルド熱帯植物園は、フェアチャイルドにちなんで命名された。
Typical street in Coconut Grove, showing heavy vegetation characteristic of the hammock.
歯学者として治療・研究のかたわら、夢の島や多摩川河川敷等で帰化植物を調査・研究し、マメアサガオを始め100種以上の和名を名付けたほか、永年に亘り横浜国立大学で帰化植物の講義を行う。
著書『緑の侵入者たち-帰化植物のはなし-』(朝日新聞社、1993年)
浅井氏の定義する「帰化植物」は外国から日本に入って定着した「雑草」のうち,安土・桃山時代以降のものを指す。

