植物園めぐり
私が訪ねたのは1975年7月,レニングラー ドで行われた第12回国際植物学会議に参加し たときである。22万平方メートル,栽培植物 6700種をかぞえるソピエト最大の植物園だ。
園内には,でっかい棟を並べて建つ国立コ マロフ植物研究所がある。ソ連の著名な植物 学者コマロフにあやかって名づけられたもの だ。園は,その付属施設で,あくまで研究 物園ということだが,一部は一般市民に関 されている。小額の入園料はとられるが,日 本の植物園のような雑踏は見られない。
研究所では,植物学のさまざまな分野の研究 究が行われており,研究材料の一部は園 から補給されている。私が訪ねたのは,専門のコ ケ植物部門だ。ここはアプラモバ教授が主任 で,その下に6人の研究者がいるのだが,これが全員女性である。ソ連では,こんなとこ ろにも女性が進出しているのかと驚き,かっ うらやましくも思ったことである。美しいカンパ類などの樹木の多いのが目だ つが,園の中心はなんといっても大温室だ。 中央にエネルギーセンターが置かれ,ここか らいくつかの棟がでていて,各棟はさらにい くつかの部屋に区切られている。この部屋が たとえば熱帯降雨林とか,サバンナなどの植 物区系になっていて,それぞれの区系に産す るおもな植物が植え込まれている。
また,一室にはアジア関係の植物もある。 日本から移入したと思われるアジサイやツパ キもあり,日本庭園のつくりも見られ,ちょ っぴり郷愁を覚えたものである。
<文と写真·井上浩> 植物園めぐり ©朝日新聞社 1976
レニングラード
→サンクトペテルブルク
AI による概要
レニングラードは、現在のロシア連邦にあるサンクトペテルブルク市の旧称です。
1924年から1991年まで使われた名称で、ロシア革命の指導者ウラジーミル・レーニンにちなんで「レーニンの街」という意味で命名されました。
ソ連崩壊後の1991年に住民投票を経て、再び「サンクトペテルブルク」に改称されました。
植物園(サンクトペテルブルク)の温室。樹齢80年の植物。
国立コマロフ植物研究所