その絵よりその詩歌より身に沁みつローランサンの老年の顔
築地正子(『花綵列島』昭和54年)
マリー・ローランサン(Marie Laurencin, 1883年10月31日 - 1956年6月8日)
パステルカラーの簡潔で華やかな、夢見るような少女像という独特の画風を作り上げ、フランス史上狂乱の時代(Les Années Folles)と称された1920年代にあって、時代を体現した売れっ子画家となった。
老年の顔⁉
意味がよくわからない・・
ローランサンの老いの影がない絵と違い、人は老いるということについて、と大岡信。
(新折々のうた 6‐134)
そんなあたりまえのことに驚くことがよくわからないのは困ったもの・・
世界の偉人・天才・有名人の愛用品 : マリー・ローランサン自作の和風屏風(4)
堀口大學の訳詞集「月下の一群」所収
「鎮静剤」
退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。
悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。
不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。
病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。
捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。
よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。
追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。
死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。
築地 正子(ついじ まさこ、1920年(大正9年)− 2006年(平成18年) 、享年86歳)
第一歌集『花綵列島』を上梓したのは五十九歳の時で、生涯に5冊の歌集しか出版していない。終生独身
『現代短歌全集 第16巻』(塚本邦雄 他著、筑摩書房)に第一歌集『花綵列島』が収録される。435-456頁、2002年(平成14年、82歳)
佐佐木信綱主宰の「心の花」の同人
「田舎に棲んでゐると、四季の移りに敏感な雑草の思ひがけない美しい姿に觸れる事が多い。彼等は、自在で、逞しくて、虚飾をもたない。「生き抜く」といふ事にひたすらな心と姿は、まことの美そのものである様に思はれてくるのである」
「たった一人の読者の存在のために、それは、もしかしたら自分自身だけかもしれないとしても、それが文芸の本質ではないかと思へてならないのである」
増補版 現代短歌全集 全17巻