茫々と取り乱したる薄かな
上島鬼貫
秋のすすきは
はじめのうちは風情があるが、「秋のはてぞ、いと見どころなき」by清少納言
・・だそう。
草の花は、なでしこ。唐のはさらなり。大和のもいとめでたし。
をみなへし。ききやう。あさがほ。かるかや。菊。つぼすみれ。(中略)これにすすきを入れぬ、いみじうあやしと人言ふめり。
秋の野のおしなべたるをかしさはすすきこそあれ。
穂先の蘇枋にいと濃きが、朝露にぬれてうちなびきたるは、さばかりの物やはある。<穂先が蘇芳色(黒味を帯びた赤)で、たいへん濃いのが、朝露にぬれてなよなよと揺れているさまは、あれほどの(すばらしい)ものがあろうか(ほかにない)。>
秋の果てぞ、いと見所なき<(しかし)秋の終わりには、たいそう見るべき所がない。>
いろいろに乱れ咲きたりし花の、かたちもなく散りたるに、
冬の末まで、頭のいと白くおほどれたるも知らず、
昔思ひ出顔に、風になびきてかひろぎ立てる、
人にこそいみじう似たれ。
よそふる心ありて、それをしもこそ、あはれと思ふべけれ。
穂先が赤いススキ・・