『漢語の謎』 (荒川清秀著 ちくま新書)で
空気の話・・を摘み読み・・
(双方で別々にできたとかどちらとか言い難いもの)
KY(空気を読めない)→この意味の、「空気」(雰囲気)は、本来の語の派生語
第5章「成り立ちに謎がある漢語」から
要約すると
中国語では「空気」の
「空」は空っぽという意味。(なにもない)
「気」は、きもちとかたましい。
「空気」の語源を調べようとすると、アリストテレスの哲学まで遡らなくてはならなくなった。
アリストテレスはこの世(地上)の物は、すべて、それ以上分解できない4つの元素で成り立つと考えた。(P201)土、水、火、空気
四元素 - Wikipediaアリストテレスは
火、空気、水、土の4つを「単純物体」と呼び、ほかの物体はこれらで構成されていると考えた。
17世紀のアリストテレスの紹介では
地、水、火、風、で「空気」を「風」と訳している。
(風は仏教系の用語)
それを、空(=気)としたのは前野良沢。
中国では、マテオ・リッチは「気」と訳した。
(キリスト教は仏教を激しく排斥する)
中国では「天の気」(天の気体)を「天気」と呼び、「地の気」(地の気体)を「地気」と呼ぶ言い方が古くからあった。さらに「天」と「地」の中間地帯(「空」にも「気」がつまっていると考えていた。それが「空気」である。(p206)
近代中国の「空気」はアリストテレスのドグマ(「空気」をそれ以上分解できない物質と考えていた)から脱したところがから出発した。
日本語で「ソラ」というと「空」という漢字を思い浮かべるかもしれないが、中国語ではソラは「天」(書き言葉では「天空」)
中国語では「空気」は単に「ソラの気」である。
『格物入門』(19世紀中国の漢訳洋書)では「天気」を採用
『格物入門』の和訳(1870)を見ると、それを「空気」と言い換えた。
日本語では「天気」はweatheの訳語、airの訳語が「空気」の方が優勢。
「空気」(=空)を初めて使った蘭学者前野良沢。その後、
「空気」と「大気」と「濛気」のせめぎ合いがあったが、
漢訳洋書の伝来と普及で、「空気」という語がなじみ、
幕末から明治初期に訳語の主流となっていく。(p214)
そして、「熱帯」などと同じく、相互作用により、中国語にも、日本語で確立した「空気」が流入、定着した。
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以上であるが、
「風」が仏教系の語であるというところが、私は勉強不足ですね・・
アリストテレスに関係のない、仏教の術語。
四大 (しだい )=地・水・火・風の四大元素。
風 - Wikipedia:空気の流れ
風神 - Wikipedia:仏教における天部の一人で、十二天の一人。風を神格化