今日も図書返却直前の目次読書・・・
内容(「MARC」データベースより) 女神からなにが見えてくるのか、現実の女性と女神という宗教的存在との関係はいかなるものか、現代の我々にとって女神とはなにか、文化人類学、民俗学、女性学など11名の執筆陣が共同研究した女性原理の比較文化誌。
国散る民族学博物館の共同研究(3年)の成果 女神研究序論
田中雅一 神々に性差(ジェンダー)がある、
宗教とジェンダーあるいはセクシュアリティ(性現象)を考える一つの切り口
男性優位への批判、
歴史のある時点で、女神崇拝を中心とする、より平等な男女関係に基づく社会が存在した
ロザリンド・マイルズ『女たちの世界史』(1999)
母権(matriarchy)を再定義 安
田喜憲『大地母神の時代』(1991)
メドゥーサの変貌━女神から怪物へ バーバラ・ウォーカー『懐疑的フェミニズム』(1987) それほど遠くない未来において世界で一番新しい宗教は一番古い宗教(すなわち女神崇拝を根幹とする宗教)の最新版という形をとる
人類学者プレストン(エリアーデ監修『宗教百科事典』「女神崇拝」の項)
処女神、配偶神、地母神、軍神 純潔、豊穣、保護、セクシュアリティ、治癒、暴力、怒り・・
リタ・グロス(Gross1978)
ヒンドゥー教の女神崇拝・・
一つの神格が男女どちらの性もとる
脱西欧父権主義化、脱キリスト教化の手段として利用しようと提唱
ビンフォード(Binford1992)f フェミニスト原理主義批判
(母権から父権へという進化論的な図式否定、
考古学的な遺物すなわちヴィーナス像をそのまま女性優位の女神崇拝社会の存在と結びつけることの批判)
ユング派ノイマンの『グレートマザー』(1982)・・女神の精神分析学的解釈の有名なもの 母の両義性に由来する女性拒否・性否定の態度が存在する
ガトウッド(Gatwood1985)
インドの女神には配偶神と一時的に統御が利かなくなった危険な配偶神と、
独立した単独女神(デ―ヴィー)(自立して両義的存在)が存在する
第1部 女神崇拝のフィールドから
第1章 「一人前の女性」になれなかった女神たち-漢人社会における宗教とジェンダー
第2章 女神の身体・女性の身体-北インド農村の女神崇拝
第3章 女から女神へ-南アジアにおける神格化をめぐって
第2部 女神伝説の深層へ
第4章 金太郎の母-山姥をめぐって
第5章 馬頭娘(蚕神)をめぐる神話と儀礼-オシラサマの原郷をたずねて
第6章 女神とポリス-アテナとアテナイ :松村一男
処女神アテナの性格・人間の女性の始まりとされるパンドラと対照的 女性は「本質的に悪、必要悪 女性からほど遠いアテナをアテナイ市民(すなわち男性)の母とすることは自分たちの特別さを強調することになる アテナは女性解放思想とは全く縁のない存在(楽観的な女神論を批判)
支配的イデオロギーとしての女神崇拝のメカニズムの解明
第7章 聖とセクシュアリティの拮抗するキリスト教文化-エバとマリアをめぐって :岡野治子
マリアとエヴァという聖書に登場する二人の女性の対照 マリア=処女=聖性、エヴァ=処女喪失=罪 ・・の定式 支配的なイデオロギーに対立しそれを転覆させるような知
第8章 マリア・レギナからキリストの花嫁へ-西欧中世における聖母の勝利図像について :鼓みどり
マリア像の変遷・・最初神の母あるいは展の女神マリア・レギナとして描かれたマリアはキリストの花嫁として描かれることになる キリストへの従属的な立場が認められる
第3部 現代女神論
第9章 近代国家の女性イメージ-平和の女神像の背景にあるもの 第10章 大女神の息子たち-「母性原理」という視座 第11章 女神を求めて-メリカにおける「女性の霊性」運動と日本
キリスト教のような支配的な宗教が日本社会には欠落していたので、女神崇拝の必要性はそれほど認められていない。 欧米の女神運動や魔女運動と関係なく、現代日本にも女神は降臨した 西洋近代文明の人間中心主義の限界を超え、女性の身体を通じて自然の息吹とつながろうとするアメリカの「現代の霊性、スピリチュアリティ)近代文明が破壊してきた自然の尊重と人間の「癒し」への切実な要求